オーストラリア 留学支援 iaeメルボルン支店 ▸ 留学生インタビュー ▸ 持永 真帆さん [ 大学院 ]
オーストラリア留学生インタビュー

オーストラリア大学院
[ 留学先までの経緯を教えてください ]
日本で小学校教諭として働いていた時も、小さい頃からの留学の夢は消えることなく、英語に興味があったことと、「教えること」との情熱が混ざって、大好きなオーストラリア・メルボルンへの留学を決意しました。
最初に語学学校でで30週間英語を勉強し、その後はMonash大学にあるTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages:英語以外の言語が母国語の人へ英語を教える学問)への進学を考えていましたが、研究が主となり論文中心の授業内容となるこのコースの前に、まずは英語を教える事がどのようなものかを知るべく、実践的な内容を含んだコース、ACU(Australian Catholic University)でTEFLコース(Teaching English as a Foreign Language:英語を外国語として教授する学問)を半年間受講することにしました。
このTEFLのコースでは、同大学内にある付属語学学校の生徒に英語で英語を教える実習があります。当初私は「英語で英語を教える」分野に興味があったのですが、この実習を行っていくうちに、「英語で英語を教える」ことに違和感を感じはじめ、逆に、自分の母国語である日本語を日本語と英語を駆使して教えていくほうにより興味がわいてきたのに気づきました。さらに、将来オーストラリアの小学校や中・高校で働きたいという私の希望を考慮に入れると、他のコースがいいのではないかと、iae留学ネットカウンセラーの紀子さんとも相談を重ねながら、最終的にLa Trobe大学の小学校教員コース(Graduate Diploma in Education (Primary))を受講することに決めました。
[ 同大学、あるいは同コースを選んで良かったと思うことは? ]
実は、留学カウンセラーとのちょっとしたコミュニケーションの行き違いと、情報収集不足もあって、7月入学の学生にはLOTE(Language Other Than English)の科目が組み込まれていないことがわかりました。(2月入学の生徒には開講されています。)
小学校教員コースは日本と同様にすべての教科を教えないといけないので、 前期・後期それぞれ約10教科も履修しなくてはいけません。英語で算数・国語・理科・社会・音楽・体育・美術などを勉強することはとても大変で、また、80人いたクラスメイトもほとんどが現地オーストラリア人でついていくのがとても大変でした。時間割も週4日で9時から5時までびっしりと授業があり、毎日苦労の連続でした。ただ、卒業した現在では、広い分野をしっかりと勉強できたこと、オーストラリア人にとってもハードなスケジュールを単位ひとつ落とすことなく卒業できたことは自信につながりました。
[ 授業内容はどのような感じでしたか? ]
まず、オーストラリアの学生は創造性が豊かということです。大学の授業では理論ももちろんやりますが、より実践的な授業も組み込まれています。
例えば、国で定められている理科の指導要綱に「電池」があるのですが、電池がどういうものでどのような機能をもっているかを教えるためのレッスンプランを5週間分組み立てます。これは導入から実践、結論までを含みます。そして、このレッスンプランの中に入るであろう実験を、どのようにすれば一番効果的かを学生自身が実験道具を持ち寄って試みます。その際、オーストラリア人はいろんな角度から、いろいろなアイデアをどんどん出してくるので、言葉の壁もあってなかなか意見を出すことができなかったことを覚えています。
また、オーストラリアはそんな感じで子供の想像力をできるだけ引き出す授業つくりを目指していますから、教師(学生)自体の想像力も豊かでないといけないのか、実習が終わった次の週には自分の実習がどのようなものだったか、オブジェクトを使って/作ってプレゼンテーションするというアクティビティーもありました。このとき、オーストラリアの学生は本当に想像力に長けていると感じました。
[ 実習はどのような感じでしたか? ]
実習は1年の間に3回にわたって行われました。特に印象深かったのが、日本で言う「道徳」の時間を任されたときです。担任の先生からRelationship(人間関係:どのように友人とより良い関係が築くことが出来るかーいじめ問題も含むー)に関するビデオを渡され、それを元にレッスンプランを組み立てたときです。まず、5つのスキルがVideoで紹介されます(communication/negotiation/cooperation/stay in cool/ など)。
そして、ビデオ鑑賞後に、5つのスキルについて振り返り、どういうときに使えば効果的か子どもたちの体験をもとに考えました。その後も、子どもたちがこれから直面しうるであろうシチュエーションをシナリオにまとめ子どもたちに与えまし た。子どもたちは、自分だったら気持ちをどのような言葉で表すか、それぞれ考え、ロールプレイをしてみんなの前で発表しました。
机上だけで学ぶのではなく、実生活と結びつけた授業を作り出す事ができたことと、実際の生活にも生かせたことは、とても嬉しい事でした。こうやって教材を元に子供の興味を保ちつつ教育していくアクティビティーをつくることはとても楽しかったです。この実習中は毎日、次の日のレッスンプランを作成しなくてはいけないのである意味大変でしたが、とても充実した実習でした。
[ 実習を通して日本とオーストラリアの初等教育の違いを感じましたか? ]
授業の構成のされ方が「どのように子供の個性を引き出すか」に重点が置かれているのが、オーストラリアの初等教育の特徴だと思いました。一般的な授業構成はまず先生がトピックを投げかけて、みんなで議論、その後それぞれの子供が個人でワークシートに取り組むといった形です。
たとえば、オーストラリアの地理を勉強する時間では、まず、黒板にある地図を見ながらメルボルンからシドニーに旅行するときには「東」に移動する、メルボルンからケアンズだと「北」に移動する、などみんなで取り組みます。その後、個人に分かれてワークシートに取り組みます。この授業で渡されるワークシートも生徒の能力に応じて渡される事がしばしばです。日本と違い、能力に合ったものを提供し取り組むと言う事は子どもたちにとっても、やる気に違いが出たり、それぞれが達成感を感じることができて、すばらしいことだと感じました。
図工の授業でも、日本では同じ結果を求めて同じように取り組む事が多々ありましたが、こちらではテーマはひとつでも、やり方はひとそれぞれ。テーマにさえ沿っていれば表現の仕方は自由。絵でも、粘土でもなんでも子供が好きなように表すことができます。そういった意味では、どの教科にも「答え」はなくて、本当に一人一人の生徒の可能性を延ばす点が日本の教育とは異なっていると思います。
[ 今後の目標を教えてください ]
メルボルンという土地柄、とにかくいろいろな国からきた人たちに会えるということは大きな財産です。大学ではオーストラリア人をはじめ、カナダ人、インド人などの友人を通して、言葉をはじめ、ガイドブックには載っていない文化も体験・実感することができました。そう感じるとともに、自分が日本人として、そして日本語・日本文化を教える教師として、より自国の文化に精通していないといけない、ということも痛感しました。
小学校教員コース終了後、現在はラ・トローブ大学でLOTE (Language Other Than English:第二ヶ国語教師)を履修してします。よりよい日本語教師になるべく、現在8人の家庭教師をしていますが、その中の2人は近いうちに日本へ行く予定です。彼らが日本に行った際、私から得た知識、文化的な知識を十分に発揮できるようにしっかりと日本語を教えていくこと、そして私自身の日本語・日本文化への理解の向上が今の自分の目標です。